これは、私に言わせれば「毎日が国家存続の危機」と言えるような状態です。
国内の農家戸数や耕地面積は減少を続けており、
日本の耕作放棄地面積は埼玉県の県面積に匹敵するまでに拡大しています。
農地としての生き返る可能性がある土地がたくさんあるのに、
一方では、食料自給率は40%。つまり60%を海外からの輸入に頼っているのです。
これはあまりにも矛盾しています。
ひとたび世界的な食料危機が来れば、どうなるでしょう?
日本以外の国は、近年着々と食料自給率を上げることに精を出し
フランスでは100%を超える食料自給率ですが、
そんな国でもおそらく危機のときには自国を守るのが当然で、
まさか大切な食料を今まで通り日本に輸出はしないでしょう。
するとあっと言う間に、日本には食料がなくなってしまいます。
「政府が蓄えているから大丈夫では?」
そんな声が聞こえてきそうですが、国家備蓄米は毎年100万トン(毎年6月に入れ替え)です。
では100万トンがどのような数字かと良いますと、
平成16年の日本人全体の米消費量は727万トンですから、
国家備蓄米は、年間消費量のおよそ7分の1程度です。
これで万一のときに国民の生命が守れるのでしょうか?
食料自給率の向上と、国家の食料危機管理のための方策を取らなくてはいけません。
まず、耕作放棄農地の拡大を一刻も早く食い止める必要があります。
その方法として、誰でも自分の食料を作るために
農地を取得できるような法整備をする必要があります。
これにより、食料自給率はグンとアップします。
高齢者で気まま農業を趣味に持つ人は増加していますし、
最近では若い人も週末農業をする人が増えています。
自分のためなら利益を出す必要はなく、
家族が食べる分だけ作ればいいので企業の農業参入より難しくありません。
もう一つは、減反政策の廃止です。
減反政策は、米の価格を高止まりさせそれにより農家を守るための政策です。
さらには、米にはおよそ700%(※)という高い関税をかけ、
海外からの米の輸入を食い止めています。
そして、高関税をかけるかわりに、ミニマムアクセスと言って、
「これだけは輸入しますよ」という範囲を決めています。
ミニマムアクセス米は、義務ではありませんが、
実際に2009年も「76.7万玄米トン」がミニマムアクセスとして輸入されています。
※米の関税は、重量に対していくら、という計算ですので、
パーセントにすると「およそ」になります。
これはどう考えてもおかしいと思いませんか?
減反政策などしなくても、専業農家には自由に米作りをしてもらい、
過剰分は政府が買い取り備蓄米とすれば良いのです。
一度は米の価格は下るかもしれませんが、
市場原理によりいずれは適正値に落ち着きます。
現在の備蓄米は100万トンですが、日本人全員が1年間に食べる米の量はその7倍ですから、
どんどん蓄えて良いのです。
そして翌年、備蓄米の交換時になりましたら、
政府備蓄米の学校などへの無料交付(※)にあてれば良いのです。
※学校などで米飯給食を前年度より増やすなどの条件を満たせば、
備蓄米(前年以前の米)を無償でもらえること。
条件などは、↓↓(PDF資料)で確認できます。
http://www.maff.go.jp/kanto/syokuryou/pdf/musyoukoufu_pr_210427.pdf
学校で美味しい米を給食として回数も多く出すようにすれば、
子供たちは家でも食べるようになります。
そうすれば、輸入に頼らざるを得ない、パン食や麺食の機会が減り、
結果として食料自給率の向上につながります。
また米を多く作っても、日本の安全安心な米は海外でも評価されるので輸出すれば良いのです。
減反政策を廃止し、農家が自由に米を作り、過剰分を政府が買い取るようにすれば一見、
かなりの予算が必要なように感じられますが、このように市場が動きますので問題ありません。
食料自給率の向上のためには、耕作農地拡大を食い止め、
誰もが農地取得できる法整備をし、減反政策を廃止することです。